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【投資初心者必見!】日本は世界のパイオニア? 日本銀行と金融政策の歴史

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この記事は、投資初心者の方や投資をこれからやろうと思ってる方にお勧めです。

「日本銀行と金融政策の歴史」について分かりやすくまとめます。

これ1本読めば、日本の金融政策の今が、ほぼ分かります。

 

 

中央銀行と金融政策の基本

金融政策を運営しているのは、政府から独立した中央銀行です。

日本の中央銀行は、「日本銀行」です。

日本銀行には、「発券銀行」「銀行の銀行」「政府の銀行」という3つの役割があります。(学校で習ったと思います)

日本銀行の目的は、「物価の安定」と「金融システムの安定」です。(日銀法)

3つの役割と、金融政策を行い、上記の目的を果たすのが日本銀行の仕事です。

具体的に言うと、短期金利(政策金利)を上げ下げして、お金を借りやすくしたり借りにくくしたりすることで、お金への需要と供給をコントロールし、物価と経済の安定を行います。

これがいわゆる【伝統的な金融政策】と呼ばれるものです。

昨今では、【新しい手法】も増えていき、中央銀行の役割は複雑化しています。

 

 

世界のパイオニアとしての日本

金融政策に関して、日本という国は他国に先駆け、新しい手法を試し続けてきました。

"パイオニア"という言葉で誤魔化しているので正しい言い方をすると、

日本という国は金融政策において、壮大な「実験場」となりました。

とりわけ成功を収めたというわけでもないので、負の側面の方が強いです。

 

日本銀行は、株バブルが崩壊した翌年の1991年から利下げを始めました。

不況期に金利を下げることによって、お金を借りやすくし、経済が活発になるように促します。

不況は長引き、1999年2月には

短期政策金利をゼロ付近に誘導する『ゼロ金利政策』が始まりました。

銀行にお金を預けても、増えない? これは、すごい 世紀の革命だ

2008年のリーマンショック後には米欧の中銀もゼロ付近に金利を下げました。

日本の金融政策は、他の先進国よりも10年先を行っているのです!スゴーイ!

 

しかし、残念なところは

日本の場合、1990年の株バブル崩壊後、1991年に利下げを開始、1999年にゼロ金利政策を行っています。9年も時間をかけています。これが、景気低迷の長期化につながったとの指摘もあります。

アメリカの場合、FRBは、サブプライム問題が表面化した2007年に利下げを行い、

2008年12月、リーマンショックから3か月後にゼロ金利政策を導入しました。

FRBは、バブル崩壊後の日銀の金融政策が不十分だと考えたのですね。

迅速にゼロ金利を導入し、量的緩和に踏み切りました。

日本の場合、経験で学び、 アメリカの場合、歴史で学んだのですね。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

 

この一事に関してみても、

中央銀行の政策決定は、景気回復の可否やそのスピードと密接にかかることが分かりますよね。

 

 

レジームチェンジと量的緩和

各国に先駆けてゼロ金利を導入した日銀は、少なからず危機感を感じていました。

なので、導入から1年半後の2000年8月には、景気回復を理由にゼロ金利の解除に動きます。

しかし、ちょうどその時期、ITバブルが崩壊し、米国は金利を引き下げます。

世界的に景気に陰りが見え始めた中、日銀も政策転換せざるを得なくなりました。

ゼロ金利解除からわずか7か月のことです。

すでに日銀は、「ゼロ金利」という伝家の宝刀を抜いてしまったので、

再び、金利を下げたところで、インパクトに欠けます。

そこで、日銀は、金融政策の枠組み自体を変える

レジームチェンジ(体制転換)」を行いました。 金利政策から、量的緩和へ

 

 

量的緩和とは?

ここからが、我々10年未満投資家の知る金融の世界ですよね。

量的緩和とは、中央銀行の操作目標を、金利ではなく、お金の量にすることです。

イメージとしては、政策金利がゼロになってしまい、"必殺技"が使えなくなったので

市中のお金の量を増やして金融緩和の効果を増やす、"究極必殺技"を編み出しました!という感じですね。

具体的には、日銀が、民間銀行の保有する国債を買います。

民間銀行は国債というものを持っていて、これは持ち続けているとお金が増えるものと思って良いです。

しかし、これを日銀が無理やり買い付けて、現金を押し付けるのですね。

日銀が国債を買い付けた分、銀行が日銀に預ける「当座預金残高」が増えます。

最初の量的緩和では、この当座預金残高が操作目標とされました。

2001年3月に「5兆円程度」だった当座預金残高は、2004年1月には「30~35兆円程度」までいきました。

量的緩和の際に、中央銀行があらかじめ将来の指針を示して、政策の効果を強めようとする手法を取ることがありますが、これを『フォワード・ガイダンス』と呼びます。

これも、日銀が世界の中銀に先駆けて導入した概念です。

 

 

デフレに苦しむ日本経済

2001年3月の『レジームチェンジ(体制転換)』以降、

日銀は、「消費者物価が安定的に0%以上」という基準を掲げ、

フォワード・ガイダンス』を行ってきました。

2006年3月には、基準を満たしたとして、量的緩和を解除、

2006年7月には、金利引き上げに動きました。

 

しかし、2008年のリーマンショックと2011年の東日本大震災により、

再び、景気後退&デフレに苛まれました。

日銀は量的緩和解除後に2回利上げをしたものの、2008年10月には利下げを実施

再び金融緩和への転換を余儀なくされます。逆戻りですね。

2010年10月にはゼロ金利に。そして・・・

国債以外に、ETFやREITなどのリスク資産も買い始めたのです。

これも、日本銀行が"世界のパイオニア"ということを印象付ける一事です。

本体の資産とは切り離した「基金」という形での購入です。

しかし、これでも消費者物価は上向かず、円高は続いていました。

ここまでが、白川総裁の時代です。

 

 

黒田現総裁の異次元緩和

当時の政府が求めたコマーシャルペーパー購入に慎重姿勢を示していた白川前総裁と打って変わり、

明確に金融緩和を打ち出し政権に返り咲いた安倍前首相(2012年末~)と、積極緩和を唱えていた黒田東彦(2013年3月就任)総裁のタッグでの時代が始まりました。

 

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黒田総裁は、従来の日銀にはなかった大胆な規模での金融緩和に動きます。

2%の物価目標」を掲げた強いフォワード・ガイダンスと、

量的・質的金融緩和」により、デフレ脱却を目指しました。

しかし、円安・株高は進行したものの

肝心の物価はなかなか上がりませんでした。

 

最初の緩和から1年半、2014年4月に実施した消費税引き上げ後に景気低迷、

一時期2%近くまで上昇した消費者物価もゼロ近辺に低下、

2015年8月には中国の景気低迷、このような流れから、

2016年1月には、日銀は『マイナス金利政策』を導入しました。

金利がマイナスになるということは、民間銀行が日銀に預金をするだけでペナルティが課せられるということです。お金を貸すと手数料が取られる。素晴らしい世界です。

これにより、お金を動かし、景気を刺激する政策です。

→結果、短期金利だけでなく、中長期金利まで急低下

(10年物長期国債利回りまでマイナス) 日銀の予想を超えた結果に。

マイナス金利の負の側面も懸念されます。

 

新興国の景気減速や原油安など消費者物価の低迷は続き、日銀は物価見通しの下方修正を繰り返して来ました。

2016年9月、日銀は金融政策の枠組みを大きく変更しました。

(いやどんだけ枠組み変更してるんだよ)

 

金融政策の操作目標を、お金の量から、金利に戻すことです。

そして、金利のコントロールを短期金利だけでなく、長期金利にも広げる

イールドカーブ・コントロール(長短金利操作=YCC)』という手法を編み出しました。

例えるなら、"究極必殺技"のさらに上の、"真・究極必殺技+改"のようなものです。

当初は、"短期決戦"ではじめた異次元緩和を、金融緩和の長期化(維持)にシフトさせたのです。

さらに例えるなら、「ここ一番の勝負所で眠気を覚ますためのドーピングとして使っていた薬」を、「この薬は長く使っても理性を保つことができる!どんどん使っていくぞ!」と意見を変えるイメージですね

それ完全にヤバイ思考

 

 

コロナショックと、これからの金融政策

2020年にコロナショックが起きましたね。

未知の感染症への対応→経済活動に急ブレーキ→世界同時緩和

中央銀行の資産購入は、非伝統的手段ではなく、もはや通常の手法となったようです。

すでに目いっぱいのドーピングを打っていた日銀も、追加策を迫られました。

その結果、日銀の総資産は1年前と比較して23%増、702兆円に。(2020年末)

 

金融緩和をしても物価が上がらないという事態は、日本だけの問題ではなく、

欧米も消費者物価が2%になかなか届かないようです。

また、雇用が伸びても賃金が上がりにくいという状況にもあるようで、

世界各国が、「日本」のような問題を抱えている昨今です。

 

FRBはコロナ禍において、かつて日銀が行ったようなフォワード・ガイダンス、

「平均インフレ目標(長期平均でインフレ率2%)」を導入した「オーバーシュート型コミットメント」政策を行っています

我らが日本銀行の背中を追いかけているのが、FRBなのです。

コロナ禍における各国の金融政策などを見ても、

かつて日銀が進めた、「ゼロ金利」「量的緩和」「リスク資産購入」「フォワード・ガイダンス」などの非伝統的政策は、世界中に広がり、加速しています。

赤信号、みんなで渡れば怖くない

世界が、日本に追いついたのです。

 

以上が、「日本銀行と金融政策の歴史」です。

この記事だけ見とけば、他に勉強はいりません。

日本は世界のパイオニアなのです。

 

これからも、日本は、世界の前を進み続けるでしょう。

人口減少や少子高齢化においても、どこよりも前を進んでいます。

こんな、進んでいる国、最先端の日本に住めて最高!

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ということで、私個人の意見はあまり含めずに

淡々と「日本銀行と金融政策の歴史」についてまとめてみました。

これからの政策と合わせて、いつかこの記事をもう一度振り返ってみたいですね。

 

参考文献 : 「シン・日本経済入門」藤井彰夫

参考資料 : 日本銀行ホームページ